オーガミノリ
Minori Oga
オーガミノリは1982年東京都生まれ。2006年東京藝術大学大学院漆芸専攻修了。卒業後漆作家としてオブジェやヘアーピースなどの装飾物を手がけていたが、環境と心境の変化から17年より絵を描き始めた。
切りっぱなし洗い晒しのキャンバス生地や珈琲染めの紙に、主にアクリル、カーボン、ペンなどで描き、支持体がもつ素材感の波打つ表層のまま仕上がりとし、キャンバスのほつれがそのままアクリル絵具で固まった物体や鉛筆で削るように描かれた意味不明なキャラクター、途中で止まる線などで構成される作品はどれも自然に発生したような記号で描かれている。
作家自身、即興という言葉を好み、あくまでも無作為に湧く線や面をキャンバスに落とし込んでいく。この行為は、漆という手間と時間と忍耐力と緻密さを必要とする素材を扱ってきた反動であり、それらすべてを取っ払い自己表現にライブ感を求めた所以であると想像できる。創造性を瞬間でかたちにし、熱を帯びたまま完成させたい欲求を叶え獰猛に描いた結果、ガサツで乱暴な絵がすなわちオーガミノリらしさとなって現れている。