ルイジ・ギッリ
Luigi Ghirri
ルイジ・ギッリは1943年生まれ、イタリアの現代写真を代表するひとり。コンセプチュアル・アーティストたちとの共同によるドキュメント写真の撮影から出発し、フランス写真界の権威、ウジェーヌ・アジェやアメリカ出身のウォーカー・エバンスらに影響を受けて、73年より写真制作を本格化。自身と周囲の関係性、またそれらのあいだに存在する目に見えないものに関心を寄せ、絵画的で静謐なカラー写真を通して、形而上学的イメージの考察を行う。80年以降は主にイタリアの風景と建築、なかでも終生暮らしたレッジョ・エミリア周辺の風景をテーマとした作品を発表。82年の国際写真見本市「フォトキナ」(ケルン)で、20世紀の主要作家のひとりとして選ばれた。
89〜90年にかけ、画家ジョルジョ・モランディ亡き後のアトリエを撮影。「アトリエ・ジョルジョ・モランディ』シリーズとして写真集にまとめる前に急逝する。92年没。生前は建築家アルド・ロッシとの共同制作にも取り組み、1977年に妻のパオラ・ボルゴンゾーニ、ギッリと同じくイタリアのカラー写真を開拓したジョヴァンニ・キアラモンテらとともに出版社「Punto e Virgola」を設立。制作の傍ら、キュレーター、ライター、編集者としても活動した。日本では、モランディのアトリエを撮影したギッリの写真にテキストを添えた『ジョルジョ・モランディ』(FOIL、2011)が刊行。2017年にタカ・イシイギャラリー(東京)で個展「Works from the 1970s」が開催された。