社会福祉とアート、デザインのフィールドで活動しているINCURVE。設立22年目を迎えた今春、アトリエ、ギャラリー、出版・グッズの各事業をひとつに統合し、名称を改めました。
INCURVEとして初めての展覧会となる「ANEW, INCURVE -インカーブ4人展-」では、所属アーティストの中から4名が出展。「東京2020オリンピック・パラリンピック公式アートポスター」のアーティストに選出された新木友行をはじめ、国内外でアートファンを惹きつける寺尾勝広、塚本和行、林健太郎による心ふるわす作品をオンラインでもぜひお楽しみください。
出品作家紹介
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1982年生まれ。黒の繊細なラインが、無骨なファイターたちの隆々とした筋肉の動きと体のもつれを的確にとらえる。近年、その対象はファイターたちにとどまらず、野球や車椅子バスケットボール、新しいところではブレイキンなど様々なアスリートへと広がり、デフォルメされたその動きは躍動感が溢れる。2005年、ニューヨークにてCG作品を初発表。当時のNYタイムズでも話題となった。東京2020オリンピック・パラリンピックでは、公式アートポスターのアーティストの一人に選ばれるなど、国際的な評価をたずさえINCURVEを牽引している。
《ブレイキン》(2023)
《車いすバスケット》(2019)
1960年生まれ。父親が経営する鉄工所で溶接工として20年間働いた後、鉄をモチーフに制作を開始。本人が「図面」と呼ぶ緻密なドローイングには、鉄骨の柱をあらわす直線と溶接の目印をあらわす記号がひしめく。INCURVEに所属して20年以上を経てなお、制作意欲の源泉は枯渇することがない。2005年、ニューヨークで初発表後に日本の現代美術館でも注目を浴び、以来、ロンドンのギャラリーやシンガポールのアートフェアなど、海外での展示を重ねている。
《はり2本》(2015)
《シンガポールビン》(2015)
1984年生まれ。動物や食べものといった具象的なモチーフを、色鉛筆でカラフルに画面いっぱいに描き連ねる。それと並行して、数字やりんごをキャラクターに仕立て、物語性のある作品も描いている。まずは、自分自身が楽しむために描くというその作品は、シニカルなおかしさが散りばめられている。何気ない日常をおもしろおかしく、観るひとにも楽しむことの本質を軽やかに教えてくれるかのようだ。展覧会や広告のメインビジュアルに採用されるなど、キャッチーな作品群がここ数年注目を集めている。
《ハロウィンカボチャ》(2023)
《コップはカラフルなおちゃ》(2023)
2002年生まれ。キャンバスの周りに小さな容器を並べ、絵具を1色ずつ絞り出す。容器を高く持ち上げて、素手で絵具を搔き出し、画面に一気に広げていく。この一連の作法のような所作は、絵具との戯れにもみえる。こう描こうという意図を持たない指先をなめらかにすべらせ、絵具の感触をたしかめているようでもある。偶発的だが意志を伴っているかのような色彩の痕跡と余白は、INCURVEの中でも若手ながら堂々とした風格を感じさせる。
《タイトルなし》(2022)
《タイトルなし》(2023)
INCURVE(インカーブ)は、社会福祉法人素王会が運営する、京都・壬生寺近くの町家を改修したギャラリー。所属アーティストが制作するアトリエが大阪にあり、ギャラリーでは作品の発表・販売を行っている。アーティストたちは、ニューヨークでのデビュー以来、サントリーミュージアム[天保山]や東京オペラシティ アートギャラリーなど、国内外の美術館やギャラリーで展覧会を行う。それぞれの作品を身近に鑑賞・購入できる場所として、2010年にギャラリーを開廊。アートディレクターやファッションデザイナー、アートコレクターなどをゲストキュレーターとして招き、アーティストの新たな側面を発見する展示を行っている。アートフェア東京にも多数回出展。オルタナティブな空間から、現代美術を世界へ発信している。
Information
「ANEW, INCURVE -インカーブ4人展-」
会期:2024年10月23日~29日 |