明石雄 オオクジャクヤママユ、メンガタスズメ問題 #1 2026

展覧会風景より

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明石雄 オオクジャクヤママユ、メンガタスズメ問題 #1 2026
展覧会風景より
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展覧会風景より

目の前の景色と、ゴッホの描いた風景画が重なって見える。そんな経験から、明石が活動する静岡県で観察したヤママユと、ゴッホが描いた絵画を繋ぎました。FRP樹脂で特殊な加工を施し透明感をもたせたオーガンジー生地の表裏両面に鉛筆で素描し、定着させています。
参考:フィンセント・ファン・ゴッホ「アルムの葉にとまる蛾」(1889)F610, JH1702


「Great Peacock Moth」と呼称される蛾と、アルムという植物を描いた作品がある。ゴッホ本人はタイトルをつけなかったため、この名前は作品分類のために後世の研究者がつけたものである。ゴッホは弟テオへの手紙で「昨日、とても大きくて珍しい夜の蛾を見つけた。それは『死の頭骨(メンガタスズメ)』と呼ばれるものだ。黒、灰色、白、そしてカーマインやオリーブグリーンの輝きが混ざり合い、驚くほど気品のある配色をしている。絵に描くためには殺さなければならなかったが、あまりにも美しい生き物だったので、殺してしまうのは忍びなかった」と語っていた。ゴッホはその蛾を殺して持ち帰りたかったが殺すことができず、スケッチのみしたようだ。
メンガタスズメは英語でDeath's-head Hawkmothというくらいで、背中にドクロか、ムンクの「叫び」のような模様があるのが特徴だが、ゴッホの絵に描かれた蛾の特徴は明らかにオオクジャクヤママユ(Great Peacock Moth)であり、大方の解釈では、これは勘違いしたゴッホが絵の中のヤママユの背中にメンガタスズメのドクロ模様を描いたとされている。確かに図鑑で見れば羽の斑点などがヤママユの特徴であるし、背中にドクロや顔に見える模様のある個体は、ヤママユでは稀であると思う。
ゴッホが見たものをもう一度考える。それは単に言葉による認識の違いなのだろうか。そもそも絵画は絵の具による再現された幻でしかない。その判断の正誤を、別の人間が決めて良いことなのか?という疑問もあり、その「幻」を描いてみたいと思った。私は県内の昆虫施設に行き飼育中の日本のヤママユをスケッチ観察した。飼育員によるとヤママユの成虫の命はわずか二週間ほどであり、一週間もすると羽がボロボロとしてくるそうだ。大変儚い存在なのだ。
私は、家の近くの県道のカーブで草むらに散っている蛾を思い出した。社会にあって無常のシステムの中に見捨てられたその無機物さも、儚さを持つのであれば美しいのかもしれない。絵画とは鏡であり、鑑賞者はそこに自分を投影するということをテーマとして考えていたが、画家の側もカンバスに自分を投影しているのではないかと思い制作した。

文・明石


■開催中の展覧会
池田ひとみ・明石雄
Looking Through Painting
10/9~10/31
eitoeiko

MORE

明石雄

オオクジャクヤママユ、メンガタスズメ問題 #1

2026

¥ 33,000 (税込)

目の前の景色と、ゴッホの描いた風景画が重なって見える。そんな経験から、明石が活動する静岡県で観察したヤママユと、ゴッホが描いた絵画を繋ぎました。FRP樹脂で特殊な加工を施し透明感をもたせたオーガンジー生地の表裏両面に鉛筆で素描し、定着させています。
参考:フィンセント・ファン・ゴッホ「アルムの葉にとまる蛾」(1889)F610, JH1702


「Great Peacock Moth」と呼称される蛾と、アルムという植物を描いた作品がある。ゴッホ本人はタイトルをつけなかったため、この名前は作品分類のために後世の研究者がつけたものである。ゴッホは弟テオへの手紙で「昨日、とても大きくて珍しい夜の蛾を見つけた。それは『死の頭骨(メンガタスズメ)』と呼ばれるものだ。黒、灰色、白、そしてカーマインやオリーブグリーンの輝きが混ざり合い、驚くほど気品のある配色をしている。絵に描くためには殺さなければならなかったが、あまりにも美しい生き物だったので、殺してしまうのは忍びなかった」と語っていた。ゴッホはその蛾を殺して持ち帰りたかったが殺すことができず、スケッチのみしたようだ。
メンガタスズメは英語でDeath's-head Hawkmothというくらいで、背中にドクロか、ムンクの「叫び」のような模様があるのが特徴だが、ゴッホの絵に描かれた蛾の特徴は明らかにオオクジャクヤママユ(Great Peacock Moth)であり、大方の解釈では、これは勘違いしたゴッホが絵の中のヤママユの背中にメンガタスズメのドクロ模様を描いたとされている。確かに図鑑で見れば羽の斑点などがヤママユの特徴であるし、背中にドクロや顔に見える模様のある個体は、ヤママユでは稀であると思う。
ゴッホが見たものをもう一度考える。それは単に言葉による認識の違いなのだろうか。そもそも絵画は絵の具による再現された幻でしかない。その判断の正誤を、別の人間が決めて良いことなのか?という疑問もあり、その「幻」を描いてみたいと思った。私は県内の昆虫施設に行き飼育中の日本のヤママユをスケッチ観察した。飼育員によるとヤママユの成虫の命はわずか二週間ほどであり、一週間もすると羽がボロボロとしてくるそうだ。大変儚い存在なのだ。
私は、家の近くの県道のカーブで草むらに散っている蛾を思い出した。社会にあって無常のシステムの中に見捨てられたその無機物さも、儚さを持つのであれば美しいのかもしれない。絵画とは鏡であり、鑑賞者はそこに自分を投影するということをテーマとして考えていたが、画家の側もカンバスに自分を投影しているのではないかと思い制作した。

文・明石


■開催中の展覧会
池田ひとみ・明石雄
Looking Through Painting
10/9~10/31
eitoeiko

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取り扱い eitoeiko
サイズ 18.0 x 14.0 x cm
素材 ポリエステル、樹脂、鉛筆、木枠、他
商品コード 1100059672
配送までの期間 展覧会終了後約2週間
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購入条件

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