[フルセット・サイズ可変]
宮原嵩広は1982年日本・埼玉県生まれ。東京を拠点に活動する彫刻家。特殊メイクの技法を習得後、東京藝
術大学彫刻科にて近代彫刻をベースにもの派やミニマルアートを学び、技術や素材にとらわれない新たな彫
刻の展開を試みています。近作ではアスファルトや自然石を動かすキネティックで徴候的な作品やシリコン
オイルやマットブラック塗料を用い、物の存在を問いかける作品を制作し、物質の純粋性をテーマに立体、
インスタレーション作品を発表しています。
https://www.miyaharatakahiro.com/
アスファルトについてのエッセイ
私達の身体は拡張を続けている。SNSは経験や記憶にとって代わりアバターが広大なネットを徘徊してもな
お私達はここに立っている。現実と仮想現実を亡霊のごとく彷徨う人々。実身体感覚は麻痺し仮想身体感覚
の特化を余儀なくされている。このような時代だからこそ彫刻を考え、様々な素材に触れ、実在感覚を澄ま
してきた。木を彫り、石を彫りその神ともいえる存在に触れようとした。石や木に神性を感じる人は少なく
ないだろう。いずれネットにも神性は帯びるかもしれない。しかしそれはまだ先の話である。今まさにそれ
が起きようとしている素材がアスファルトなどの化石燃料だと考えている。なぜなら神性を帯びる条件とし
て媒介可能であること、そして信頼されたまま死ぬことで永遠性を獲得することである。1960年前後に九州
派やスミッソンが使用したアスファルトとは労働者視点の進歩と死んでいく自然の象徴であった。しかしそ
の破壊力はうすれ、当たり前のようにその上で生活をし、自然はすべてその下へと内包された。そして数十
年もすれば枯渇してしまうかもしれない。現代においてアスファルトを再提示することで人と物の関係を再
定義したいと思う。
(前略)さて、トリックス・アンド・ヴィジョンともの派の双方に惹かれてきたという宮原嵩広は、この半
世紀前の一事象をいかに読み替えようとするのか。あらゆる表面を覆い隠し包含するアスファルト、一方で
肉をえぐり取られ内側を暴露された墓石。包み/剥がすその反発する二方向の中心にある磁場にこそ宮原の
作品の「魂」がある。さしあたりそれを、彫刻の内臓、と呼んでおこう。物質が物質である権利は、いかに
して顕現し得るか。
- 成相肇 宮原嵩広個展「missing matter -sculpture's dogma-」に寄せた文書より抜粋 -
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取り扱い | GASBOOK |
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素材 | アスファルト合材、FRP、木材 |
商品コード | 1100026389 |
配送までの期間 | 〜7営業日以降の発送 |
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