アメリカ人アーティスト、ピッパ・ガーナー（Pippa Garner）の作品集。本書は、アメリカの消費財に関するウィットに富んだ独創的なパロディ作である。

本書は、元々は1982年に出版された作品集であり、通販カタログの形を取り、消費財やアメリカの創造力、効率、娯楽、快適さへの執着心を風刺した、巧妙で気まぐれな発明品を収録している。社会的成功を即座に測定するリストバンド「リアクション・オ・メーター」、歩くたびに体重が表示される「デジタル・ダイエット・ローファー」、財務健全性を保証してくれる（現金流出入を管理する）「オートウォレット」、後片付けが不要の伴侶動物「ペット・ア・ビジョン・テレビ・コンソール」などを含むこれらの発明品はプロトタイプとして制作され、本書へのために撮影された。

本書は、出版当時、大ヒットとなり、作者（当時はフィリップ・ガーナーとして知られていた）は深夜のトーク番組に出演したり、『ヴォーグ（VOGUE）』や『ローリング・ストーン（Rolling Stone）』といった雑誌から注目されるようになった。これらの作品は今日でも共鳴し、多くの消費財と類似している。表紙に掲載されている「ハイヒール・スケート」の場合は、世界的ファッションブランドのランウェイ・コレクションに無名で登場したこともある。本書が出版された頃、作者は性別移行を始めたが、これもアーティスティックなプロジェクトと位置付け、1970年代以来継続して制作している改造した消費財と概念的に類似したものと捉えている。以前は希少だったこの珠玉のアーティスト・ブックは、現在広く入手できるようになった作者の数少ない作品のひとつである。